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2017/03/09

H28卒業式式辞(抜粋)

| by urayasuminami-h
  (前略)

 さて、卒業生の皆さん、皆さんとは二年間のお付き合いでした。
 この二年間、私なりに様々な機会を通じ、皆さんの心の支えとなるであろう
 「パワー・フレイズ」をいくつか紹介してきました。
 一月の始業式の時にもお話したように、
 言葉というものは、単なるコミュニケーション(意思伝達)の道具ではありません。 
  人間は言葉によって物事を認識し、思考し、伝え合い、理解し合っています。
 言葉は、人間存在の根幹に係わる大切な役割を担っています。
 言葉が貧弱であれば、貧弱な考え方しかできないし、
 荒んだ言葉からは荒んだ人間関係しか生まれません。
 言葉の持つ力について、この高校卒業という機会を契機に、
 今一度考えてみてほしいと思います。
 そんな言葉の力の一つが、「パワー・フレイズ」です。
 人が生きていくということは、
 様々な困難を克服し、乗り越えていくことにほかなりません。
 程度の差こそあれ、困難のない人生などあり得ないと言っていいでしょう。

 私事になりますが、高校の卒業アルバムの寄せ書きに、
 ある恩師が書いてくれた言葉を今もはっきりと思い出すことができます。
 それは鎌倉時代の親鸞というお坊さんの言葉を
 正しく解釈してまとめた「歎異抄」という本の一節からとったものだそうで、
 「『とても地獄は一定住みかぞかし』」と思えば呵々」というものでした。
 「どうせこの世はどっちに転んだって地獄なんだからと思っていれば、
 どんなにつらいことがあってもなんとか生きていけるものさ。」
 くらいの意味だとその先生は話してくれました。
 卒業というおめでたい場面にはそぐわない言葉のように感じるかもしれませんが、
 この年齢になると恩師の思いやりというか、
 深い愛情を感じる言葉に思えてなりません。
 まだ私には「人生は地獄だ!」とまでは断言できませんが、
 これからも様々な困難に出会うことが想定される人生において、
 心の支えとなる「パワー・フレイズ」を何個か持っているのと
 そうでないのとでは、明らかに違うと確信します。
 そこで、私から卒業生の皆さんに贈る最後の「パワー・フレイズ」です。
 英語で恐縮ですが、これは私が四〇代前半に仕事上の壁にぶつかったとき、
 ある上司の方からいただいた言葉です。
 当時を振り返ってみると、若いころとは違い、年をとってからの挫折感は、
 かなりきついものがあったように記憶しています。
 そんな時かけていただいた言葉です。
  
 「Face it. Deal with it. Accept it. And forget it.」

 意味は「Face it.(困難に出会ったとき、逃げずにしっかりと)向き合いなさい。
 Deal with it.(その困難に)上手に対処しなさい。
 Accept it.(その結果を)受け入れなさい。
 And forget it.そして、忘れてしまいなさい。」です。

 最後の「forget it」という「忘れてしまいなさい」という言葉に、
 本当に救われる思いがしたのを今でも覚えています。
 「やるだけやったら、それでもういいんだよ。くよくよするなよ。」
 と優しく肩をたたかれた思いがしました。
 「パワー・フレイズ」とは、
 力強く気持ちを奮い立たせてくれるものばかりでなく、
  静かにまた人生に立ち向かわせてくれるものもあるのだとそのとき思いました。
 卒業生の皆さんそれぞれが、
 それぞれの「パワー・フレイズ」に出会えることを願ってやみません。

 (後略)
15:04