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保護者の皆様をはじめ、本校関係者の御支援、御協力に感謝申し上げます。
前任校でも、講話で話したことを中心に、校長室だよりを載せておりましたので、本校でも、校長室から見て感じた東葛飾高校の様子を紹介してみようと思います。第1回目は、リベラルアーツ講座の紹介です。
本校には、もう10年以上の歴史となっているリベラルアーツ講座という土日を中心とした課外講座(中学生を含めた生徒と保護者を対象とした公開講座)がございます。本校の先生や保護者の方が自ら担当したり、先生方が開拓して外部講師を頼んだりして、実現しているものです。
今日は、私が7月に聴講させてもらった講座を2本紹介します。それぞれの話を聴いて切実に感じるのは、やっぱり本業の方の話は、説得力があり、刺激を受けるなということです。
4日(日)には、臓器移植について、東京学芸大学付属国際中等教育学校教諭の佐藤毅さんと、埼玉医科大学総合医療センター臓器移植センターにお勤めで、長く東京都で臓器移植コーディネーターをされていた櫻井悦夫さんに講演をいただきました。これは、本校の濱田先生が企画してくださったものです。
佐藤さんは、保健体育の先生です。養護教諭と司書教諭の免許をお持ちで、命について考える授業を多くの学校でされています。本校では、「命の授業~臓器移植」というテーマで、6年前から講演していただいているそうです。
はじめに、「命について、しゃべれるようになる」が目標の授業ですとしたうえで、臓器移植を勧めることが目的ではなく、臓器移植を通して「いのち」を考える授業だと宣言してお話しが始まりました。脳死、臓器移植についての説明を経て、ドナー(臓器提供者)やレシピエント(移植希望者)として、自分なら、家族ならどう考えるかという意思表示について具体的に考えさせるものでした。また、聴講者に様々な問いかけがあって、最後に、「生きるとは」という質問の中で、20数年前本校生だった西田英史さんの本「ではまた明日」が紹介されました。
続いてお話を伺った櫻井さんは、臓器移植コーディネーターを22年間されていた方です。「やっていた時は、無我夢中だったが、辞めてみてすごいことをやっていた」と実感したという話から始まり、命をつなぐことが可能となった臓器提供と医療の進歩について説明された後、臓器提供の場面に直面して、希望する家族、辞退される家族の事例を紹介し、一つ一つの事例で全く同じはなかったと述懐され、「本当に臓器提供はだれのためでしょうか」という問いを提示してくれました。最後に、「親より必ず長生きしてください」というメッセージがあり、多くの人の命に向き合ってきた経験から発せられた若者への強い願いを感じました。
土曜日に1,2年生とも模試があった次の日の日曜日でしたが、参加した中学生・高校生、保護者の方々も深く考え、また満足した半日となりました。
10日(土)には、NHK国際放送のアナウンサー(キャスター)を経て、現在東京大学大学院の研究員として活躍されている松本祐香さんの講演がありました。これは、本校の内久根先生が企画してくださったものです。
前半は、ニュースキャスターの道を続けながら社会人入試で大学院に進まれ、博士号をとられるまでの御自身のキャリアについて、お話していただきました。神戸で生まれ、その生い立ちの中で、阪神淡路大震災を経験されたことが契機となって進まれた道だったそうですが、「決して、アナウンサーを目指したわけではなかった。」「自立して生活していくため、今ある状況で、できる限りのやれることをやってきた。自分自身に期待して目の前のチャンスに取り組んできた。」という力強い言葉が印象的でした。
後半は、アナウンサーとして東日本大震災を伝えるという壮絶な経験を通して、この仕事には技術とハートがもっと必要だと実感し、大学院に進んだという話があり、その後、国内外の被災地を訪問し、キャスターとして伝える場面を通して、これまで解決されないまま積み重なってきた社会の課題が災害によって顕在化していく様子や、災害が自らの町の良さを見直すチャンスとなった事例などを数多く紹介していただきました。
講演後、生徒の質問に、丁寧に親身になって答えてくださったのが印象的でした。その中で「苦しかった時期は、振り返ってみると短かったと感じる。」「コロナは必ず終わる。コロナは全世界が影響を受けた。そして、影響を受けたすべての人が、人とつながることってすばらしいということを感じたはず。」「それは、これからの社会の希望になるのでは」というメッセージを残してくださいました。
当日は、中学生は授業公開で参加できませんでしたが、ジャーナリストや語学を学びたいという高校生や保護者の皆さんが参加され、特に生徒にとっては、そのお人柄を含めて素敵なロールモデルとなったと思います。
夏休みにも講座が予定されています。今後も、参加させてもらうのが楽しみです。
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