校長室から

校長室から

四月を迎えて(校長室から)

 春風に桜花舞う中、6日に着任式・始業式、7日は入学式を行いました。
 
 以下、中学校・高校全日制合同での始業式で話した内容です。
 おはようございます。また、進級おめでとうございます。新しい先生方も迎え、新年度のスタートとなりました。それぞれに、目標を立てて、春休みを過ごし、今日を迎えていると思います。はじめに、そんな一年のスタートラインにいる皆さんに言葉を2つ紹介します。 
 一つ目は、「一人の人間にとって、最大の発見、そして最大の驚きは、自分にはできないと思っていたことが、実はできるのだということを知ることだ。」という言葉です。これは、ヘンリー・フォードというフォードという自動車メーカーを創設した人の言葉です。二つ目はイチローです。こう言っています。「小さいことを積み重ねていくことが、とんでもない所へ行く、たった一つの道だと思う。」いかがでしょうか。響きますか。
 本校は、二兎を追う学校です。英語で表現すると、1匹目は、Missionで、2匹目が、Purposeです。Missionとは、具体的な使命。東葛生には避けて通れない道。受験という具体的な目標に向けて、勉学を積み重ねていくことです。そして、Purposeとは、志(こころざし)。学校では、次代のリーダーの育成と言っています。いろいろ解釈ができますが、私は、やりたいことを追求し続けていく人と定義しています。皆さんには、MissionとPurposeを往還する学びを期待します。
 もう一つ。この後、動画を3分程一緒に見たいと思います。
 少し準備をしてもらいます。話を続けます。これは、卒業式で話した話です。私60年近く生きてきて、人類は、「その日暮らしの日常」という時代から、SDGsに象徴されますが「未来の人が幸せに生きる責任を現代世代が負う」という生き方を世界の行動原理にしつつあることを感じています。特に、皆さんのような若い世代がこのことを自然に持っていることに誇らしさと頼もしさを感じています。
 一方で、ウクライナの行方がとっても気になります。人類は歴史の反省の上に、様々価値(平和、民主主義)を築き上げてきました。その維持や普遍化の難しさを露呈しているなと感じます。
 これから、ジョンレノンのimagineという曲を動画で流します。この曲は、今、世界中で平和を願って演奏されています。歌ですので、解釈はそれぞれですが、「想像してご覧、人々が世界を分かち合うことを」そして、最後に「世界は一つになるんだよ」というフレーズがあるんですが、これらを争いがなくなるための方法解とすると、今の現実が、どういう道筋をたどっているか。今後、どうなっていくのか、何が必要なのか、みんなで見つめ、考えたいと思います。それでは、お願いします。
 The world will  live as one.私たちは、目前の厳しい現実を冷静に受け止めつつ、長期的な視野で未来を見据える希望を失ってなりません。
 以上、ウクライナの、そして世界の平和を祈念して、そして、コロナ対策協力の継続をお願いして、校長の言葉とします。

年度末を迎えて(校長室から)

 一昨日、本校のソメイヨシノが開花しました。昨日、終業式を迎えて令和3年度の教育課程が終わりました。保護者、同窓会、地域の皆様の支えがあって、コロナ禍の学校運営を大過なく進めることができました。感謝申し上げます。
 「校長日誌」と題していましたが、名ばかりのまま年度末となってしまいました。今後は、「校長室から」と改題し、講話などを紹介してまいります。

 以下、324日全日制終業式・中学校修了式で講話した内容です。

 

 おはようございます。

 令和3年度が、区切りを迎えます。一年の最後に、こうして全校生徒を前にお話しできること。感謝したいと思います。

 寺田寅彦さんという物理学者が、「正当に怖がることは難しいものだ」という言葉を遺しています。

 この2年間のコロナ対応を考えたとき、その通りと感じます。それでも、本校においては、皆さんが自分事としてとらえた行動の積み重ねで、正しく怖がるに割と近づいた対処ができたんじゃないかと感じることができました。この一年、学校の感染防止対策への協力ありがとうございました。

 もう一つ、正しく怖がることで、気になることがあります。ウクライナの情勢です。これについても、自分の身近においても起こりうるものとして本質や背景をつかみ、国際社会の叡智がどうやって光明を見出していくか。どうか、自分事として見つめていってほしいと願います。

 さて、今日は、1年間の評価の日です。皆さん「自分超え」がどのくらいできたか確認してほしいと思います。また、「人生やり直しはできないけど、見直しはできる」と言います。成長を実感するとともに、明日に向かうための反省もお願いします。

 「多彩な才能あふれる生徒たち」。これは、東葛生を語るときの枕詞です。在校生から「東葛は居心地の良い学校です。長所は褒めてくれます。変なところはほっといてくれます。」と聴いたとき、自己と他者を肯定して生きることができるのがこの集団の長所だと感じました。そして、授業や、行事や部活動で、皆さんが互いに切磋琢磨していくことが、東葛中学校・高等学校の成長の原動力です。次年度に向けて、良い準備をしてください。

 最後に、来年度に向けて、高校の環境整備について、2つ伝えます。

4月から教室などに、新たなWi-Fi環境が整備されて、皆さんの端末を通信料の負担なくつなげられるようになります。これによって、一人一人が情報端末機器を文房具として活用して、先生方と皆さんが一緒になって、その効果的な活用方法を模索しながら、新たな東葛の学びを創り上げてほしいと考えています。

②教室のエアコンが、新しいものに更新されます。冷房が効きにくい教室の改善が期待できると思います。これは、PTAの御尽力によるものです。以上、御披露いたします。

 人に頭を下げること、また、下げられることもあります。そして、これとは別に「頭が下がる」思いになることがあります。この一年、具体的には触れないけれど、皆さんや先生方の行動に「頭が下がる」思いをしました。来年度も、感謝と尊敬の関係があふれる東葛であってほしいと願います。

 終わりに、年度末年度初めは、事故も多い時期です。ウキウキドキドキする時節ですが、ピリッと一味も聴かせて、正しく怖がる実践をお願いします。以上、年度末の校長の言葉とします。

令和3年の終わりに(校長室から)

   気候変動や感染症の拡大、民主主義や資本主義への信頼感の損失、社会の分断など、人類は大きな課題に直面している。災害が頻発し、国際社会は不安定で、多くの課題が立ちふさがる中、高校生には、世界をより良い方向へ導く志を持つことが期待されている。

上記のような表現が、教育を語る際、枕詞に置かれる一年でした。

 学力学習状況調査では、全国の中3生に「将来の夢や目標はありますか」という質問をしています。その肯定的回答率が、全国平均68%で、年々下がっているそうです。

わたしは、これは、いい意味で「なるほど」と思いました。しかし、うまく、説明ができませんでしたが、その後、あるコラムで、「夢や目標があいまいなままの方が、変動社会には適応的なのではないか?」「時代の本質を見抜いているのは、子供たちなのかもしれない。」とあり、これかなと思いました。知の探究や協働的な学びにより、具体的な夢や目標だけではない、「未来をなんとかできる自信」を身に付けようとしている生徒が育ちつつあるからです。

 

一年が終わります。コロナ禍の中、保護者・地域をはじめ多くの皆様に、本校の教育活動を支援、応援していただきありがとうございました。

 新年は、新学習指導要領の実施年。社会に開かれた教育課程の実現に向け、一歩を踏み出す年です。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 以下は、ROKKOKU PROJECTの一環で旭町地下歩道に展示した本校生徒の作品です。




同窓会と医師会(校長室から)

同窓会と医師会

 

《同窓会総会》

〇先週の土曜日、本校の同窓会総会が開かれました。3年半後の創立100周年記念事業向けての準備会を兼ねた内容でした。コロナ前は懇親会を含めてホテルで行っていたそうですが、出席者を限定して会議のみを本校大講義室で行いました。

〇感心したのは、100周年記念事業の広報を担当する30歳前後の皆さんが、過去の写真やメッセージの収集など、SNSを駆使しながら組織的かつ念入りに準備を進めていることでした。まさに、自主自律が具現化されていると感じ入りました。

〇また、高橋会長をはじめ役員・支部長の皆さんには、私から生徒の活動状況やスクールポリシーの策定について説明した後、本校の教育活動への期待を述べていただきました。現役を引退されている方もおりましたが、地域での活動を熱心にされている方もおり、地域と本校との連携の在り方について期待されているとの意見もいただきました。

〇記念事業の一環として、各方面で活躍されている同窓生から送られたお祝いメッセージを紹介する試みが始まっています。その中のお一人に同志社大学の植木朝子学長が紹介されており、どんな方かとネット上で調べてみました。すると、高校生向けのメッセージがありましたので、その一部を紹介させていただきます。

〇「学問の世界では、なぜそう言えるのか、客観的な根拠を示すことがまず必要ですから、先行研究に当たり、知識として蓄えておく必要があります。『源氏物語』研究などは鎌倉時代から始まっていますから、それらについてはひたすら知識として吸収するしかありません。こうした作業は決して無駄にはなりません。それは異なる領域の勉強についても言えることです。たとえば、幾何の問題で、いかに補助線を引くかを考えた経験は、数学以外の分野でも役に立ちます。ある一本の補助線を引くことで局面が劇的に変わり、問題の解決につながることは、文学作品の読解においてもしばしばあるからです。自分には関係のない分野だから勉強するのは無駄だと決めつけないで、幅広い知識を吸収してほしいと思います。近年、大学では文理融合が進んでいますが、それが進めば進むほど、これまで以上に他分野の知識が必要になります。受験には必要ないからと、早い時期から学ぶ範囲を狭めるべきではないでしょう。高校時代、幅広い学びに自ら進んで取り組むことが、大学での豊かな学びにつながっていくのです。」(同志社大学植木朝子 学長 〜良心教育のもとで、大きな変化に対応できる柔軟性を〜 - 大学ジャーナルオンライン (univ-journal.jp)から引用)

〇植木学長は国文学、中世の歌謡が専門です。高校生にはできるだけ幅広く学んでほしいということですが、本校での学びの在り方を示唆する内容と思い、掲載させていただきました。

《医歯薬講座》

〇今日(11/14)は、医歯薬コースの講座として、柏医師会の長瀬会長をはじめ7名の医療関係者の御来校いただき、医師、薬剤師、看護師の各グループに分かれて、50数名生徒と対話をしていただきました。志望する分野の専門的な話、生き方、考え方など、様々な疑問に熱心かつアットホームに答えていただきました。

〇長瀬会長からは、あいさつで「これから何かを成し遂げていくには、高い志と熱量を持ち続け、そして戦略を持たなければならない」とのメッセージをいただきました。また、それぞれの先生方のお話から、同じ医療従事者でもスペシャリストで進む方もあり、ゼネラリストとして生きる道もあり、就職後も環境の変化によっていろいろな道があると感じました。

〇2つの会を通して、同窓生や医師会の皆様から、様々な期待と御支援をいただいていることが本校の糧になっていることを改めて実感することができました。生徒の皆さんには、こうした先達たちを身近に感じ、後に続いてほしいと願います。御協力いただいた皆様に感謝いたします。

 


後期のスタート(校長室から)

後期のスタート
 戦いとも表される新型コロナウイルスですが、終戦が見えてきたのか、休戦なのかわからない状況です。それでも、一時期より少し安堵した気持ちで、後期の始まりを迎えることができました。ここまで、本校の感染防止に協力をしていただきありがとうございます。
前期は、学校行事も、昨年度より、できたこと、できなかったこと、延期したものもありました。それでも、時間やルールという制限の中、文化祭や部活動などで最大限のパフォーマンスを発揮し、一人一人が陰日なたなく運営に参画している生徒の姿から、本校生の逞しさや頼もしさを感じることができました。
 「感染症対策を徹底しながら、教育活動を継続する。」ことの難しさを、ブレーキとアクセルを同時に踏んでいると例えていましたが、ある雑誌で、SDGsについて、「そもそもSustainable(持続)と、Development(発展)とは、エントロピー的には対立的で、矛盾する概念ではないだろうか。」との記述を見つけ、我が意を得たりと読み進めると、「これより優れた目標概念は現実的にないのであろう」「Sustainするには、Developmentの速度を抑制すること、もう一つはDevelopmentの方向をSustainableに向けていくほかない」とあり、自転車の前輪と後輪の関係かと妙に会得しました(あっちで迷い、こっちでぶつかり、まるで幼子のようですが…)。
 中世ヨーロッパのペストの流行は、流行を抑えられなかった教会の権威を失墜し、近代が始まるきっかけとなったと言われます。東日本大震災後の地域復興を見れば、被災前の復元ではなく、再編とも言える変化がみられた地域もありました。人類を生態系の一部ととらえれば、撲滅ではなくて、変異と適応が理想的なアプローチと言えそうです。
さて、来年度から高校で新しい学習指導要領が始まるにあたり、スクールポリシー(教育活動の指針となる3つの方針、①育成を目指す資質・能力、②教育課程の編成・実施、③入学者の受け入れ方針)を策定することとなりました。これは、社会の変化、生徒の多様化を受けて、高校の特色化、魅力化を一層明確にすることが大切であるとされたことから、全県立高校(全国の学校)で行うものです。
本校は、間もなく百周年を迎えますが、自主自律を校是として、グローバル社会をリードして活躍できる有為な人材の育成を教育方針に掲げる中で、8年前に医歯薬コース、6年前には中高一貫教育がスタートしました。スクールポリシーの策定により、中学校から6年間の生徒の成長物語を示し、生徒をはじめ学校関係者が誇りを持ち、本校を目指す中学生にとってわかりやすく、魅力的な教育活動を展開していきたいと思います。
策定に当たり、生徒、保護者、地域の皆様など学校のステークホルダーから意見を頂戴するためアンケートを実施しました。今後も、策定過程をHP等で紹介し、意見を伺ってまいりたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。
《参考》
○現行の学習指導要領の学力の3本柱
 (1)基礎的な「知識・技能」
 (2)知識・技能を活用し、「自ら考え、判断し、表現する力」
 (3)学習に主体的に取り組む意欲
○新学習指導要領で示された学力の3本柱
 (1)実際の社会の中で生きて働く「知識・技能」の習得
 (2)未知の状況にも対応できる「思考力、判断力、表現力」の育成
 (3)学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力」「人間性等」の涵養