県内唯一の芸術科。
その1年生の授業「造形基礎」を参観しました。
今日は「エッグ・ドロップ」のコンテスト。

限られた素材を使って、高所から落としても中のタマゴが割れないような飛行物体(?)をデザイン、制作して飛ばします。
まっすぐ落下していくものもあり、ゆらゆらと落下傘のように揺れながら落ちていくものもあり、そのたびに地上で観察している生徒からは歓声が上がっていました。
一見わちゃわちゃと楽しそうなこの授業ですが、やはり専門学科の授業ですね、「デザイン」の本質に迫る多くの学びが仕掛けられていました。
まずは、機能性の追求です。
使える素材は厚紙のみ。
この限られた条件の中で、生徒たちは「タマゴを守る」という命題に向き合ったわけです。デザインといえど、オシャレ、カワイイ、カッコイイは最優先事項ではないことを学びます。
次に、社会的な責任について。
今回生徒たちが飛行物体の中に仕込んだタマゴは、自分のタマゴではありませんでした。生徒たちは、はじめに先生から「好きなようにペイントしていいよ」と与えられたタマゴに思い思いの絵を描きました。そして、その大事なタマゴを、ペアの生徒に託すのです。
何気ないこのプロセスですが、生徒たちは、他者にとって大切なものを預かり、それを守るためのデザインを考えるという社会的な営みを経験します。
たくさんの作品の中で印象的だったのは、見るからに空気抵抗の少なそうな、ロケット型の作品でした。
予想どおり、結構なスピードで落下して地面に激突していましたが、なんとタマゴは無事でした。外観に反して、内部の構造に工夫が凝らされていたのでした。
楽しく、創作欲が満たされ、知的興奮のある授業でした。
※高所での活動がありましたが、事前に安全計画を立て、複数の教員が立ち会って実施しました。