校長の小野 祐司です。
平成30年3月9日に、「H29年度卒業証書授与式」を挙行しました。
生憎の雨と風により、開始を1時間遅らせましたが、厳粛な式となりました。私は、この3月で定年退職ですので、卒業生の皆さんと一緒に卒業です。感慨深い卒業式となり、式歌にさしかかったあたりで、しんみりしました。
式辞を掲載しますので、ご覧ください。
ラニーニャ現象の影響なのでしょう。私たちの学び舎もしんしんと冷え込みましたが、漸く寒さも峠を超え、本日卒業される三百十九名の皆さんの晴れの門出をお祝い致します。
ご卒業誠におめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
この佳き日に、ご来賓として本校「開かれた学校づくり委員会」委員長、中村一治東京理科大学特任教授様をはじめ、地元地域、学校から沢山の皆様方の御臨席を賜り、千葉県立柏高等学校「平成二十九年度卒業証書授与式」を挙行できますことは、教職員一同誠に大きな喜びです。
ご臨席いただきました皆様に、厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。
そして保護者の皆様。今日までの様々な出来事、特にケンカシは駅から離れており、通学路も狭く、大変ご心配であったと思いますし、健康、学業、進路選択など多くのご苦労ご心配があったことと拝察いたします。
お子様が心身ともに大きく成長され、晴れて卒業式を迎えられましたことを、心からお慶び申し上げます。誠におめでとうございます。
本日巣立つ普通科第四十六回、理数科第四十五回卒業生の皆さん。
皆さんはこの三年間、「健全で、謙虚・誠実な人材の育成」という本校教育の目標のもと、真摯に学び、部活動、行事にも熱心に取り組み、そして進路実現のために精一杯努力し、今日を迎えました。今、皆さんの脳裏には、登下校風景や教室での友との語らい、あるいは様々な学校行事の思い出、部活動での楽しかったことや辛かったことなどが、次々と去来していることと思います。
私は、皆さんとケンカシで生活を共にしたのは二年間ではありましたが、皆さんが合唱コンクールや黎明祭で見せてくれた熱い青春パフォーマンス、体育祭での真剣な取組、そして行事や部活動においても最上級生として全校生徒を牽引してくれた事に深い感銘を受けました。そのような皆さんの姿勢を、私は誇りに思っています。
英国ロンドンビジネススクールのリンダ・グラットン教授は,過去200年の推計からこれまでの人間の平均寿命80歳を見直し,「人生100年時代」を著書「LIFE SHIFT」で提唱しています。
卒業される皆さんは、1999年、2000年生まれでしょうから厚生労働省の平均余命表を見ますと、男子は寿命まで生きるとすれば、2080年、女子は2086年ですが、100年であれば2099年、2100年となります。iPS細胞の実用化などその頃の医療や科学技術は想像もつかないくらい進歩しているでしょうから、皆さんは2100年でも元気に過ごしているでしょうし、143歳の先輩、つまり私も生きているかも知れません。
また内閣府は,社会全体も狩猟社会(Society1.0),農耕社会(同2.0),工業社会(同3.0),情報社会(同4.0)に続き,サイバー(仮想)空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させた新しい人間中心の社会「Society5.0」の到来を見据え,一億総活躍社会の旗を掲げています。
国連の世界人口予想2017によれば、2100年には、世界の人口1位はインド、2位中国、そして3位にはナイジェリアが進出し、東南アジア、アフリカの国々の人口が日本を追い抜き、現在の76億人は、1.5倍の112億人となると予想されています。
従って皆さんが進む世の中は,これまで経験してこなかった劇的な変化が訪れることになると考えられます。
世界の大学ランキングの話をしたことがあります。2018年版の1位は、英国のオックスフォード大学ですが、日本で1位の東京大学は46位。つい先日発表されたアジアランキングでは、5年前はトップであった東京大学が、順位を下げ8位でした。こうした結果から教育改革が加速しました。日本が、そして皆さんが進む道は厳しいものがあります。
しかし、どのような社会にあっても重要なのはやはり「人」そのものであることに変わりはありません。先日閉幕しました冬期五輪平昌(ピョンチャン)大会では、大柄の外国人選手に比べて体格で劣る日本の選手が果敢に立ち向かう姿、大活躍する姿を見て、感慨もひとしおでした。
道は厳しくとも、これからは若い皆さんの時代です。
県柏生は、勉学、部活動、学校行事をとおして、「健全で謙虚そして誠実さ」を身に付けてきました。誰も見ていなくても正しいことを行う誠実さ、文化これこそ世界に伍する、大きな力であります。リーダーたる資質の一つとして大切なことであると思うのです。
この場においでの皆さんが一歩踏み出し、世界の人たちと対話を始め、世界の若者と互角に切磋琢磨することは大切なことであります。
いろいろ申しあげましたが、これだけは覚えておいてほしいと思います。
皆さんがこれから生きていくときに大切にしてほしいことは、明るく、楽しく、前向きにということです。
明るいクラス、明るい職場、楽しく勉強、楽しく仕事、そして前向きに。コップの水が半分しか残っていないと考えるのか、半分も残っているのかと考えるのでは違ってきます。前向きに考えればアイディアも出てきます。そして自分のペースで。
明るく楽しく前向きに、自分のペースで。ATM.jp、ATM.jpです。
そこにもうひとつ、付け加えさせて欲しい。
皆さんは、今後ますます発言を求められるようになります。その時100%の自信をもってから手を挙げるのでは遅い時があります。何%で手をあげるのかを自分で決めておくことも必要です。そしてコミュニケーションをとおして、考えを深めていくのです。
優秀な皆さんには、さらに前に進んで欲しいと思います。
今日はこれを憶えて欲しいと思います。
結びになりますが、ご来賓並びに保護者の皆様方には、これまでの本校の教育活動に対するご理解・ご協力に改めて心より感謝申し上げます。
2020年東京オリンピックの開催年には、本校も50周年を迎えます。
どうぞ今後とも県立柏高等学校への変わらぬご支援並びにご協力を賜りますよう、お願い申し上げ、式辞といたします。
それでは、卒業生の皆さん、お元気で。
皆さんの将来に幸多かれとお祈りします。
平成三十年三月九日
千葉県立柏高等学校長
小野 祐司