芝山湿地だより

芝山湿地について

里山生態園「芝山湿地」は、船橋芝山高等学校の敷地内にある学校ビオトープです。

・概要
本校は、千葉県北部に広がる下総台地の西端にあります。このあたりは、江戸時代には上飯山満村と呼ばれ、水はけの良い台地のそばに飯山満川周辺の谷津田が広がる伝統的な里山と農村の景観が広がっていました。周囲からは、縄文時代の遺跡も多く発掘されてることから、古くから人類が生活していたことが分かっています。
※谷津:丘陵地が侵食されて形成された地形の呼称。千葉以外の地域では、谷戸(やと)、谷(やと)、谷地(やち)とも呼ばれる。古くから水田稲作が行われ「谷津田」として利用されてきました。

1960年代以降、宅地化が進みましたが、残された斜面林にかつての環境を観ることができます。
本校の学校ビオトープ「芝山湿地」は、船橋市が管理する「芝山東緑地」の斜面林に隣接し、本校敷地の北端にあり利用しづらいヨシ原湿地が、創立(1978年)以来放置されていた場所で、その存在に気づいた理科教員が1999年よりここに谷津田の環境を復元したものです。
このわずか600平方メートルほどの湿地に多くの絶滅危惧種の棲息が確認されており、地域の生物多様性保持に貢献しているとともに、本校の理科の授業、部活動等いろいろな形で利用しています。
2011年には、学校設定科目「湿地に学ぶ」(2単位・3学年選択科目)が開設され、「芝山湿地」を中心に湿地から地域の生物多様性を学ぶ授業が行われています。

・里山環境が復元されるまで
ヨシ原湿地として放置されていた場所は、かつての谷津田の一部で、東側は斜面林に接し、その下部から湧水が湧き出して湿地を潤していました。
復元作業を始めた1999年当時も湧水付近にオニヤンマのヤゴやサワガニの棲息が確認されました。これらの生物はすでに船橋周辺では希少種となっていました。
しかし、乾燥化が進んだ湿地には、すでにセイタカアワダチソウが入り込み、さらには廃棄物や残土が不法投棄されていて、復元にはかなりの困難が伴いました。

<現在に至るまでの復元内容>
1999年:セイタカアワダチソウの伐根/ヨシ刈/斜面林下の湧水を用いた小川の造成
2000年:湿地の多数の地点における地下水位の測定/地下水位の高い斜面林側に池の掘削と湿地の拡大/木道整備/水田と畑の造成/小川の蛇行
2001年:斜面林からの土砂流入の防止(石積み・玉砂利)/池と湿地の拡大
2002年:湧水補助としての雨水タンクの設置
2003年:地下水位測定のための井戸の設置
2004年:石積み設置/木道の延長/雨水タンクの目隠し
2005年:民家の照明遮蔽のためのハンノキ植樹/新しい池の掘削
2006年:水田の新設/ニホンミツバチの巣の移動
2011年:学校設定科目「湿地に学ぶ」(2単位・3学年選択科目)開設。
2014年:井戸の再掘削/水田で「神仁穂(かんにほ)」種の栽培開始
2015年:水田の拡幅/小川の整備/畑での固定種野菜の試作/ミョウガの移植/水田で「ハッピーヒル」種の栽培開始
2016年:サトイモの栽培